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悪性胸膜中皮腫とアスベスト

平成19年1月、医薬品会社の日本イーライリリーの悪性胸膜(きょうまく)中皮腫向けの薬、ペメトレキセド(商品名アリムタ)の製造販売が、厚生労働省から承認されました。

悪性胸膜中皮腫は進行してから診断されるため、それまで有効ながん治療の方法がありませんでした。

悪性胸膜中皮腫は、静かな時限爆弾と言われるアスベスト(石綿)吸入が原因のがんで、発症は曝露から20~50年とされています。

中皮は、肺を包んでいる肺膜、胃腸・肝臓などの腹部臓器を包んでいる腹膜、心臓を包んでいる心膜を覆っています。

この中皮から発生した腫瘍が中皮腫で、部位により、胸膜中皮腫・腹膜中皮腫・心膜中皮腫があります。

胸膜中皮者・腹膜中皮腫の原因がアスベストです。

さらに、中皮腫には良性のものと悪性のものがあります。

悪性のものには、1ヶ所にかたまりを形成する限局性のものと、広く胸膜や腹膜に沿って発育する、びまん性のものがあります。

良性のものは、すべて限局性の中皮腫です。

限局性、良性の中皮腫のがん治療では、外科療法での治癒が期待できます。

2005年、大手機器メーカーのクボタが、従業員および周辺住民にアスベストが原因と思われる中皮腫などの疾病が多数発生していることを発表し、社会問題となりました。

アスベストは結晶が繊維状になった鉱物で、熱に強く、化学薬品にも溶けず、加工が楽で価格が安いため、断熱・耐火・吸音など様々な用途で使われました。

天井や壁にセメントと混ぜて吹き付けられ、防火カーテン、ドライヤーなど身近なものまで、3,000種類にものぼる用途に使われました。

アスベスト吸入が原因となる疾病には、悪性中皮腫の他、肺がん、石綿(アスベスト)肺があります。

石綿肺は肺が繊維化してしまう、じん肺(肺繊維症)の1つです。けでなく、肺炎や心筋梗塞などの病気の予防にもなるのです。

肺がん

肺がんは大きく分けると、小細胞がんと非小細胞がんに分けられます。

非小細胞がんは、さらに下記のような種類があります。

・腺がん

内臓の分泌物を出す腺組織にできるがんで、肺がんの60%を占めます。

・扁平上皮がん

肺の入り口付近にできる、気管から気管支内部を覆っている細胞組織にできるがん。

喫煙との関係が大きく、非喫煙者はほとんどかかりません。

転移が遅いので、完全にがんを切除できると治癒の可能性が高く、放射線治療も有効です。

・大細胞がん

肺がんの約5%を占めます。

肺の末梢部に多いがんです。

非小細胞がんは、進行は比較的穏やかなものの、がん治療において抗がん剤が効きにくいがんです。

小細胞がんは、喫煙者や喫煙経験者に起こります。

比較的に他のがん細胞と比べ小さな細胞なので、この名があります。

小細胞がんは、腫瘍の発育が早く、転移を起こしやすいのですが、がん治療において抗がん剤や放射線治療が有効ながんです。

初期症状は小細胞がん・非小細胞がん共に、咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛、背痛などです。

肺がんの原因は、喫煙、受動喫煙、排ガスなどによる大気汚染、アスベストなどがあげられます。

特に肺がんと喫煙との関係は大きいですが、喫煙は肺がんだけでなく、胃、肝臓、腎臓、骨髄性白血病など他の多くの部位のがんのリスクとなります。

がん予防には、禁煙は最も確実であり、禁煙はがんだけでなく、肺炎や心筋梗塞などの病気の予防にもなるのです。

肝臓がんの治療

肝臓がんは肝臓から発生したがんである原発性肝がん、他臓器から肝臓に転移したがんである転移性肝がんの2つに大きく分けられます。

肝細胞がんと胆管細胞がんが、原発性肝がんの95%を占めます。

残りの5%には、肝細胞芽腫(小児の肝がん)、成人の肝細胞・胆管細胞混合がんなどがあります。

成人の肝臓がんの90%は肝細胞がんです。

肝臓がんの治療は、外科療法、穿刺療法、肝動脈塞栓術が中心です。

この他に、肝臓のがん治療には放射線療法や化学療法などがあります。

・外科療法

がんを含め肝臓の一部を切除する肝切除は、最も効果的ながん治療の1つです。

肝臓移植は、肝硬変などによって肝切除が困難な場合に行われます。

脳死肝移植はほとんど行われておらず、肝臓移植は生体肝移植が中心となっています。

・穿刺療法

経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法があります。

ラジオ波焼灼療法の方が少ない回数で優れた効果があるため、現在は穿刺療法においてラジオ波焼灼療法が主流です。

ラジオ波焼灼療法は、体外より特殊な針を肝臓がんに挿し込んで通電し、がんを焼灼する療法です。

がんの大きさが3cmより小さく、個数が3個以下のがんで行われます。

・肝動脈塞栓術

肝動脈を詰まらせ、がんに酸素を供給する血流を遮断してがんを死滅させます。

カテーテルを足の付け根の動脈から肝動脈にいれ、腫瘍近くにカテーテルを挿入します。

そこから、動脈を塞いでしまう薬や、腫瘍を固める薬を挿入します。

このように、肝臓がんの治療では、がんの位置などによって様々な治療法が使われているのです。